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イベント名 | 講師 | 開催日 |
平成28年度 子ども図書館員講座 | 伊万里市民図書館職員 | 平成28年7月26日・27日 |
第3回佐賀うちどくフェスティバルin鳥栖 | 平成27年12月12日 | |
第3回全国子ども司書研究大会 | 基調講演:柳田邦男 | 平成27年8月1日・2日 |
平成27年度 子ども図書館員講座 | 伊万里市民図書館職員 | 平成27年7月21日・22日 |
第2回佐賀うちどくフェスティバルin多久 | 平成26年12月13日 | |
平成26年度 子ども図書館員講座 | 伊万里市民図書館職員 | 平成26年7月22日・23日 |
九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里 | 基調講演:柳田邦男 | 平成25年12月1日 |
平成25年度 子ども図書館員講座 | 伊万里市民図書館職員 | 平成25年7月30日・31日/ 8月6日・7日 |
第2回子ども司書推進全国研究大会 第4回うちどくサミット in 三郷 |
基調講演:柳田邦男 | 平成24年11月30日/ 12月1日 |
平成24年度 子ども図書館員講座 | 伊万里市民図書館職員 | 平成24年7月31日・8月1日/ 8月7日・8日/22日 |
第3回家読サミットin板柳 | 基調講演:柳田邦男 | 平成23年11月5日 |
第1回子ども司書推進全国研究大会 | 平成23年11月4日 | |
平成23年度 子ども図書館員講座 | 伊万里市民図書館職員 | 平成23年8月2日・3日/ 8日・9日 |
第2回家読サミットin大子 | 基調講演:柳田邦男 | 平成22年10月16日 |
第1回家読(うちどく)サミットin伊万里 | 基調講演:柳田邦男 | 平成21年10月31日 |
◆オープニングセレモニー◆
家読テーマソング合唱「こころつないで~read and talk~」
☆伊万里少年少女合唱団
☆伊万里市立黒川小学校児童
☆いすの木合唱団
「こころつないで~read and talk~」によせて
ケータイ・ネットの普及で親子の触れあいが希薄になっている昨今、家族が一緒に読書したり、読み聞かせをしたりする「家読」は、子どもの心育てを再生させ、大人も心の豊かさを取り戻す特効薬となるものです。
その活動を全国に広めるための第1回家読サミットが、2009年10月に伊万里市で開かれた時、開幕に地元の小学生たちが壇上でこの歌を合唱するのを聴いて、私は「家読」の神髄を伝える歌詞とメロディのすばらしさに胸が熱くなり、この歌を国民歌にしたいと思いました。
ノンフィクション作家 柳田邦男
◆開会宣言◆
伊万里市教育委員長 馬場﨑 満朗
本日は、「九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里」に、市内はもとより、県内、県外よりもたくさんお出でいただきまして、誠にありがとうございます。お手元の資料の中に、「ひろげよう つなげよう 笑顔・人・夢」、そしてまた、「家読は子どもの夢を応援します」と書かれておりますが、今日の大会を通して、家読の素晴らしい取り組みを学び、そして、子どもたちのために私たちができることは何かを皆さんと一緒に考えてまいりたいと思っております。
それではただいまより、「九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里」を開会いたします。
◆開会式(主催者挨拶)◆
伊万里市長 塚部芳和
<要旨>
本日は、「九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里」にご参加いただきありがとうございます。
このフォーラムは、九州大会という位置づけで、文部科学省、佐賀県のご支援を受けて開催しているものです。本市が家読を始めたのは、平成19年のことで、黒川町をモデル地区に指定し、家読の推進を図りました。先ほどオープニングに「心つないで」の合唱がありましたが、この歌は、当時、黒川小学校で教鞭をとられていた中島進先生が作詞、また、黒川町で読み語りボランティアをされていた羽柴よしえさんが作曲されたものです。平成21年に開催した「家読サミット」の際、この歌を聞かれた柳田邦男先生が「たいへん素晴らしい歌である。ぜひ、NHKの紅白歌合戦で歌ってもらいたい。」と申されました。私は今でもこの言葉が忘れられません。この「心つないで」が紅白歌合戦で歌われる頃には、日本の子どもたちにとって将来がきっと明るいものになるのではないかと思います。現在、この歌は、全国の家読の大会や読書大会などで歌われていますが、今後もさらに全国的に広めていきたいと思っています。
私が家読を始めようと思ったきっかけには、二つの理由があります。
平成17年~18年頃、全国的に「いじめ」、「家庭での虐待」が社会問題になっていました。この問題は、子どもたちの家庭での家族とのコミュニケーション不足が原因なのではないかと考え、同じ本を家で一緒に読み、本の感想を語り合ってはどうだろうかと思ったからです。家読をすれば、家族のコミュニケーションが生まれ、会話も生まれます。一つの手段として家読を取り入れてはどうだろうかと考えました。また、当時、佐川二亮家読ネットワーク代表の活動を本で知り、ご支援を受けながら家読を推進していこうと思いました。
また、学校では「朝読」が行われていましたが、土・日曜という休日があり、せっかくの読書が途切れてしまうのではないか、その途切れを家読で補完できないかと考えました。何と言っても、子どもの時からの読書の習慣は、人生を生きる上で大変大きな糧となり、本を読む習慣をつけた方が良いのではないかと思ったのです。
伊万里市でも市内13地区でそれぞれに家読を推進していますが、拡がるようで拡がらないという現状も見えますが、徐々に効果があらわれているようにも感じています。「家読は、家族の心のキャッチ・ボール」と言えると思いますが、家読を通じて家族の絆が強まっているように思います。また、最近では、地域・学校・家庭が三位一体となった教育が叫ばれております。そのような時期にこそ、家読を家庭教育の入り口だと捉えておくべきだと考えています。今後、家読が、九州から日本全国、そして世界へと拡がっていくことを願っています。
本日のフォーラムが盛会に、また、成果がありますよう祈念して、主催者の挨拶といたします。
◆来賓祝辞◆
伊万里市議会議長 内山 泰宏
<要旨>
「九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里」
の開催にあたり、一言お祝いを申し上げます。
本日は市内外の皆様が多数お集まりになり、活気あるフォーラムが開催されますことをお喜び申し上げます。
伊万里市においては、平成19年6月より黒川町でスタートを切り、その後「家読フェスティバル」や「家読サミット」、講演会、コンサートなど、様々に取り組まれております。各小中学校においても、それぞれのやり方で家読が推進され、学校・家庭・地域に根付いたものになっているのではないかと思っています。
小さい頃から本を読み、親しむということは、『子どもの読書活動の推進に関する法律』で謳っているように、「言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできない」非常に大切なものです。親子、家族で一緒に読書をし、話をすることは、デジタル化が進み、何かと便利な今の社会の中で、アナログの良さを再認識できる非常に有効な手立てです。子どもたちの学力の向上につながり、心が満たされ豊かになり、親子、家族間の交流が生まれるなど、素晴らしい効果がもたらされるものと思っております。
皆様には、この後、有意義な時間を過ごしていただき、本日のフォーラムを通して今後ますます家読の輪が拡がり、さらに大きくなることを期待しています。
◆基調講演◆
ノンフィクション作家 柳田 邦男
演題:「読み聞かせは子育ての魔法の杖」
<要旨>
平成21年度の第1回家読サミット以来、伊万里での公演が4回目となり、家読応援団長と自認されるノンフィクション作家の柳田邦男先生が、「読み聞かせは子育ての魔法の杖」と題して基調講演を行いました。
柳田先生は「インターネット社会の中で心の成長がゆがめられがちな子どもの人格形成に、絵本の読み聞かせが欠かせない」と説き、東京都の荒川区で実践されている『柳田邦男絵本大賞』の事例を紹介されました。この大賞は、絵本を読んでの感動や人に伝えたい絵本の感想、子どもに対しての読み聞かせ体験など、幅広い内容を柳田先生に手紙で送られた内容のコンテストで、今年度で6回目となります。柳田先生は、「子どもたちから送られてくる手紙を読むと、絵本を通して子どもたちがこれからの人生をいきていくうえで大切なことに気付いていることがよく分かる。」と話され、「絵本について大人は誤解している。絵本は幾つになっても、人生の経験に応じて深い読み取りができる。子どものとき、子育てのとき、老いてからと、人生で意味を持つ。生き方や命を深く考える文学なのです。たかが絵本などというのではなく、まずは手に取って1ページずつ言葉と絵が語りかけるものを、しっかり味わってほしい。」と絵本の魅力を伝え、子どもだけでなく大人も絵本を読むことを勧められました。
そして柳田先生自身が翻訳した絵本「ヤクーバとラオインⅠ 」の「勇気」と「ヤクーバとライオンⅡ」の「信頼」を取り上げ、本物の勇気と信頼とは何か、この絵本から感じ取ることができ、この本を使った授業で、子どもたちに討論させたら、いじめグループがなくなっていった。』という事例を紹介されました。
また、読み聞かせについては、「子どもたちの感性はすばらしいものがあり、人の命や心について感じ取る力、他人の苦しみや悲しみを感じ、理解する力がある。生と死をテーマにした絵本を通じ、追体験することで、心が大きく成長する」と語られました。
そのうえで「親子や家族で一緒に並んで絵本を読むことで、同じ時間、感情を共有し、子どもたちはまるで実体験さながらに心に刻まれます。ですからどんな家庭でも『家読』に取組まれるようにしてほしいのです。本が大好きな子どもが育てば、子どもに一財産を身に付けさせたことと同じです。」と幼少時期の読書がいかに大切かを訴えました。
◆シンポジウム◆
テーマ「うちどく(読書)を通してつながる家庭・学校・地域」
時間:11時20分~12時10分
会場:文化ホール
シンポジウムコーディネーター 佐賀新聞社編集局長 富吉 賢太郎
シンポジスト(家庭) 伊万里市老人クラブ連合会長 森戸 吉昭
シンポジスト(学校) 武雄市立御船が丘小学校主幹教諭 中島 進
シンポジスト(地域・図書館) 福岡県小郡市立図書館長 永利 和則
シンポジスト(地域・行政) 鹿児島県出水市教育委員会読書推進課長 盛 正明
【富吉】
それぞれの立場からテーマに沿って話していただく。
【森戸】
伊万里市黒川町出身の森戸さんは、黒川町の家読の背景と現在の取り組みをまず説明。学校でのいじめが大きな社会問題になっている中、平成18年12月に伊万里市が『いじめなし都市宣言』を発表し、平成19年6月には『家読のすすめ運動』を開始して黒川町をモデル地区に指定した。黒川町が指定された理由として、読書ボランティアを中心に熱心な読書推進活動が展開されていること、町民の強い要望で黒川公民館に立派な図書室が設置されていることがある。現在、黒川町は町全体の取り組みとして、毎月1日を「家読の日」と決めて家族みんなで家読することを奨励しており、公民館は毎月第4土曜日に「家読集会」を開催している。また、『家読のすすめ運動』の成果をあげるために、町・親と子の読書会・学校・公民館の代表者を構成員として「黒川町家読連絡会」毎月開催し、各団体の取り組み状況報告や今後の活動予定など報告して意思疎通を図っている。
「家読集会」で、ご自身が子どもたちへの読み語りをされた体験を話される。また、家庭では、孫娘に読み語りをしていると、ほのぼのとしたその情景を表した写真を提示して説明。自然体で読み聞かせることの大切さを話す。続いて、毎年3月に黒川町家読連絡会が主催しておこなう「黒川町家読のすすめ発表会」について、ご自身がパネラーとして発表された実践をもとに、その概要を説明する。最後に、黒川小学校が保護者や地域の方の協力を得ておこなった「図書室リニューアル」を紹介した。
【富吉】
黒川地域が成熟した「家読のまち」ということがわかった。学校・公民館・地域が協力して家読に取り組んでいる。
【中島】
武雄市御船が丘小学校勤務の中島さんは、学級でおすすめの本を回覧する「リレーうちどく」を通して、学校と保護者と地域がつながっている事例を発表。平成24年6月末にリレーうちどく」を開始する。家庭と学校、家庭と家庭をつなぐために、「リレーうちどく記録表」や「リレーうちどく感想掲示板」を設置する。武雄市特色ある学校づくり事業から補助で「リレーうちどく3点セット」の準備し、家読推進プロジェクトのおすすめの本を参考にして72冊(各学年12冊)のリレーうちどくの本でスタートした。平成25年6月には、「わが家のうちどく日記」の作成し、月2回の家読の日の記録とリレーうちどくの確認ができるようにした。
学校と地域をつなぐために、地域への広報や地域人材を活用した取り組みを積極的におこなっている。リーフレットを全家庭配布と地区回覧し、取り組みの様子をブログにより発信する。地域人材活用である学校サポーターさん方に、新しい「リレーうちどくバック」の作成のお手伝い、児童への読み語りと「リレーうちどくの本」増冊の選定、図書ボランティア…本の修理と「おすすめの本のコーナー」の設置などをしていただいた。また、近くにある武雄市図書館の司書さんから図書室リニューアルのアドバイスを受けた。
リレーうちどくの成果として、H25年7月と9月の2か月で1793回のリレーうちどく実施され、家読の定着が図られた。また、リレーうちどくに対する職員への意識調査では、ほとんどの職員が「親子のコミュニケーションが感じられる」と回答している。保護者アンケートからの課題として「よい事だとは思うが時間がない」との回答が3割近くあった。
【富吉】
みふねサポーターという地域の学校サポーターの方の活用によって、学校の読書活動が支えられていることがわかった。
【永利】
福岡県小郡市立図書館長の永利さんは、初めに小郡市立図書館の概要を説明。昭和62年に開館、現在の蔵書数は22万4千冊で年間の貸出冊数は40万冊を超える。次に、運営方針を説明。モットーは「親しみやすく、入りやすく、憩いとやすらぎのある図書館」で、すべての市民や学校のニーズにできる限り応えていきたいと。具体例として、小郡市立図書館ネットワークやブックスタートを挙げる。特に、ブックスタートでは、福岡女学院大学と連携して追跡調査を行っている。この後、小郡市での家読推進事業を説明。平成23年4月に「第5次小郡市総合振興計画」を策定し、その中に家読を明文化。具体的な事例として、校区公民館を中心とした家読推進事業、モデル校を中心とした事業、市全体での家読推進の取り組みなどを挙げる。特に、モデル校を中心とした事業では、保護者対象の講演会の開催、家読ダイアリーの配布と記載、各種お便りでの家読の啓発、家読用図書の整備について説明する。まとめとして、家読により親子の絆が深まり心の安定につながっているということ、また、子どもを中心に周りの大人を巻き込み、学校から家庭や地域へ広がっていると説明した。
【富吉】
家読を推進していくためには市長などリーダの存在が大切。地元の大学との連携が参考になる。
【盛】
鹿児島県出水市教育委員会読書推進課長の盛さんは、まず出水市の概要と教育行政及び読書関係団体の組織の説明を行った。その中で、出水市の読書活動の取り組み状況を報告。平成19年に第一次子ども読書活動推進計画を策定し、「読書活動日本一のまちづくり」を目指して、「子どもが読書に親しめる環境づくり」「社会全体での協働と連携の強化」「子ども読書活動への理解・関心の高揚」に取り組んだ。第一次の読書活動推進計画の成果として「読書活動推進への市民の関心」「子どもの読書量の増加」があったが、課題として家庭内での読書の推進が挙げられた。その反省をもとに、平成24年に策定した第二次子ども読書活動推進計画では、家読の推進をかかげた。具体的には、「家読20分間運動」の推進、市内保育園・幼稚園での家読の推進と調査、平成25年度からは市内小中学校での家読の推進と調査を行った。また、家庭や地域で市民が読書に取り組みやすいように、毎月第3土曜日を「出水市民読書の日」とした。広報と啓発の強化として、ホームページや広報紙の活用や市民読書の日の無線放送、読書の歌の作成、青少年施設や福祉協議会など他関係機関との連携を挙げた。
【富吉】
読書の質や量を点検しながら家読を進めていることに感心。次に、今後の展望やぜひ言っておきたいことを話してください。
【森戸】
おじいちゃん、おばあちゃんも読み聞かせをもっとするべき。そのことにより3世代の家族の絆が深まる。
【中島】
家読の対象者は、子どもでありその保護者である。その意味では、学校が中心となって家読を推進すれば効率的ではあるが、現在の学校社会が置かれている状況や職員の負担を考慮すれば、学校だけで推進するには荷が重すぎる。行政が家読推進の旗振りをすることによって取り組みやすくし、図書館がおすすめの本などの物的サポートをすることで負担を減らすことが大切である。そのような取り組みが、読書によるまちづくりと言えると。また、勤務する武雄市が平成26年度から全市内の小中学生に一人1台のタブレット端末を配布することを例に挙げて、ICT利活用教育との両輪で家読を推進していくことが重要であると語った。
【永利】
まず、家読の位置づけを提案。「読書のまちづくり日本一」の実現のための家読、「未来の市民」の育成のための家読、世代を超えた「ブックスタート」の実践のための家読と説明する。また、家読の発展として、モデル校だけでなく全校での
実践、「早寝、早起き、朝ごはん+家読」とした生活習慣との連携、「ふれあいの読書から思索の読書へ」と語った。
【盛】
読書は、将来への人づくりふるさとづくりにための重要な要素であると。子どもと大人が読書を楽しみながら、ふるさとの豊かな未来につなげていければと希望を語った。
【富吉】
学びとは誠実さを心や胸に刻むこと。教えとは子どもの未来を語る事。学びと知恵を形にしたのが家読。絵本を通してことばを学び表現力を高める。誠実さを胸に刻んでいく。そして、感想を語り合いながら未来を語り合う。家読は、家族や地域、学校の背骨を創る崇高な活動。最後に家読が九州だけでなく日本や世界に広まることを期待していると締めくくった。
◆分科会◆
家読の現場で活躍されている各種団体からテーマごとに事例発表が行われました。
第1分科会[学校] 発表① 伊万里市立波多津小学校 教諭 古川 佳子 発表② 広島県熊野町第四小学校 教諭 川本 静 |
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第2分科会[地域・家庭] 発表① 江北町にじいろ文庫 代表 武富 由美 発表② 大分県日田市光岡公民館 主事 宇野 吉信 |
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第3分科会[図書館] 発表① 武雄市図書館 館長 杉原 豊秋 発表② 伊万里市民図書館 司書 小柳 良子 |
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第4分科会[読み語りボランティア] 発表① 黒川町おはなしどんぐり 﨑田 洋一郎 島田 容子 発表② 鳥栖市マザーリーフ 古江 浄子 |
◆全体会◆
分科会報告
伊万里市立立花小学校校長 杉原 あけみ
各分科会での討議を3つのキーワードで報告
第1分科会〈テーマ:学校と家庭をつなぎ、「うちどく」の輪をひろげる取組〉
・保護者や地域の方へ家読の良さを味わってもらう。学校からいろいろな情報発信をして説明をしていくことが大事。
・誰でもいつでも本がすぐ手にとれるような環境づくりが大切。
・細く長い取り組みであるので、継続していくことが大事。
第2分科会〈テーマ:地域・家庭におけるうちどくの推進〉
・情熱や信念を持って取り組むこと。
・地域、学校、図書館、行政との連携。
・しなやかに永い取り組み。
第3分科会〈テーマ:図書館におけるうちどく推進の支援〉
・学校との連携・協力・理解が必要。
・行政やボランティアが関わり推進していく。
・司書講座では難しいことをやさしく、やさしいことを深く学ばせることも大事。
第4分科会〈テーマ:絵本をとおして私たちができること〉
・子どもたちに生の声を届ける。
・町全体で家読に取り組む。
・各々が勉強をする。
◆全体講評◆
家読推進プロジェクト代表 佐川 二亮
<要旨>
今日は一日、熱気あふれる会になった。柳田先生の基調講演に始まり、シンポジウム、さらに分科会では熱心な議論が交わされていた。
シンポジウムは、九州で家読に先進的に取り組んでおられる方々が登壇していただき、非常に素晴らしい取り組みをされていることを感じた。
分科会では、学校からの情報提供が啓発になるし大事だという意見が聞かれた。家読は家庭だけでなく、学校が推進してこそ継続できるものだと感じている。学校は組織的に取り組めるので、学校が家読活動の拠点になることが大事ではないかと思う。そして、学校の取り組みを家庭、地域、図書館、行政が一体となって学校を応援するという連携が重要で、その連携こそが活動をさらに継続させていく。家読運動というのは学校、家庭、図書館、地域と地域の読書ボランティア、行政という5つのネットワークがしっかりつながっていてこその活動であると言える。
これからの家読活動が、まず学校の中、さらに学校と家庭や地域、図書館へとネットワークを拡げ、将来的には、佐賀県から九州全域、そして日本全国、世界へと拡がっていくことを願っている。
今日の「家読ネットワークフォーラム」は全国で初めて開催された。みなさんの熱意がここに集まり、このネットワークが日本中につながっていけたらと期待する。
◆閉会宣言◆
伊万里市教育委員会 教育長 森 哲也
本日は長時間に渡りまして、「九州うちどくネットワークフォーラム」にご参加をいただきまして、誠にありがとうございました。家読のテーマ
ソングの合唱に始まり、柳田邦男先生のご講演、小さな朗読コンサート、そして各種の実践発表を通して、家読についての関心が深まり、そして、参加の皆様方の交流も拡がってきたのではないかと思います。これをきっかけにしまして、皆様方がそれぞれの地域に戻られまして、家読の推進・普及に取り組んでいただき、そして家読に対する理解が深まり、家読のネットワークがさらに広がっていくことを祈念申し上げます。
それでは、これをもちまして、「九州うちどくネットワークフォーラムin伊万里」を終了いたします。ご苦労さまでした。
※敬称略
うちどくサミットの前日には「第2回子ども司書推進全国大会」が行われました。
基調講演は東日本大震災で被害を受けた宮城県女川町からのお話でした。「被災地で本がつなぐもの」という題で、町の図書室が失われてから復興するまでの取り組みを紹介されました。人々の心をつないだのが絵本だったことや、小さい規模ながらも絵本館や図書室でサービスを再開させたことをスライドの写真と一緒にお話しされました。最後に紹介されたサトウハチローさんの『ふるさとに生きる ふるさとを生かす』という詩は、会場にいた多くの聴衆の心にも届いたことでしょう。
続いて三郷市の事例発表がありました。今年度から始めた子ども司書養成講座の受講生13名が緑のエプロンを身にまとい、ブックトークなど自分達の学んできたことを明るく、元気に発表しました。その後は、4つの自治体から子ども司書に係る活動の事例が発表されました。それぞれの自治体で創意工夫をこらして、小・中学生が図書館の仕事を学ぶために様々な取り組みがなされていました。事例発表の後にはパネルディスカッションも行われ、登壇者の意見交換などがありました。担当者の意見は良い点ばかりでなく、厳しいものも寄せられました。さらに、問題点として、講座が始まったばかりで試行錯誤を続けていることや、子ども司書を育成しても活躍の場が少ないことを挙げられていました。まとめとして、この研究大会が継続して開催され、全国各地で子ども司書が誕生し、活躍することを願って閉会となりました。
今回の大会では三郷市の子ども司書が自分達の発表以外にも司会を担当したり、大会前や終了後では会場内のスタッフと一緒になって来場者を案内したりして、活躍する姿が印象的でした。
12月1日に埼玉県三郷市で「うちどくサミットin三郷」が開催されました。
家読に最初に取り組んだ茨城県大子町、青森県板柳町、そして伊万里市の首長が集まり、家読を推進するための全国サミットが始まって3年が経ちました。そこから家読は全国に広がっていきましたが、現在家読活動の最先端を走っているのが、今回の会場である三郷市です。今回のうちどくサミットは、三郷市市制施行40周年記念「日本一の読書のまちづくり」事業として開催されました。伊万里市からは江頭副市長をはじめ、6名が参加しました。
三郷市はこの「日本一の読書のまちづくり」を豊かな地域づくりのスローガンとして、平成22年度から事業に取り組んでいます。平成18年度に「生きる力を育む読書活動推進事業」の地域指定を受けたことで、まず「読書のまち三郷づくり」事業を行い、そこから幼稚園・保育園から小学校・中学校までの取り組みが展開され、今では保護者や地域、そして図書館も協力して、全市を挙げて読書のまちづくりを推進しています。
会場に入って、まず驚いたのは、市内の小・中学校で家読の取り組みを表したパネル展示でした。どの学校でも、家読に向けて図書室を多用している様子が分かり、壁新聞・おすすめの本の紹介などが色とりどりに飾り付けていて、普段から読書に親しみ、家読につなげている状況が見えてきました。
うちどくサミットのオープニングは、伊万里発の家読のテーマソングである『こころつないで-read and talk-』を小学生が合唱しました。その後、主催者・来賓の挨拶に続いて行われたのが、「うちどく郵便コンテスト」の表彰式でした。親子で、兄弟姉妹で、お互いが読んだ本について書いたり、家族に宛ててお薦めのメッセージを書いたりするのがうちどく郵便です。入賞された作品はいずれも心のこもった温かい内容の手紙でした。
続いて、三郷市での家読活動を紹介する事例発表が行われました。まず、早稲田小学校の6年生による朗読劇『注文の多い料理店』では、ストーリーに沿って展開する全員の演技が素晴らしく、物語の世界に吸い込まれるようにして見とれてしまいました。また、幼稚園児による『さんびきのこぶた』の発表や小・中学校での取り組みの紹介は、積極的に児童や生徒が参画している様子が感じられました。特に中学生の親子が一緒に登場し、家読の様子やその時の気持ちを発表する姿には、日頃から本を通じて、コミュニケーションを交わしている姿が想像できました。
休憩の後は柳田邦男氏による基調講演です。柳田さんは「大人の再生、子どもの成長」を題し、家読が広がることで大人が感性を取り戻し、子どもは感情豊かに育つことを、家読や読書の取り組みと合わせて紹介されました。さらに「朝の読書」が地道な活動を経て、全国的に広がっていったように、これから家読も同様に広がっていくだろうと話されました。また「親子が一緒に読む時間をつくり、できれば同じ本を読むこと」と「家読のすすめ」を語る柳田さんが最後に話したのは、「『本が大好き』という子どもに育てたら、それは子どもにひと財産を身に付けたに等しい」との言葉でした。それを実現するには、読書の環境を整え、家読を通じて家族のコミュニケーションを図ることだと感じました。
大会の締めくくりには三郷市から家読の宣言文が読み上げられ、盛会の裡に終了しました。今回のサミットは「日本一の『読書のまち三郷』」と称するにふさわしい舞台での大会となりました。